逓増定期保険を使った法人税の節税

逓増定期保険は解約返戻金のある生命保険で、法人保険を使った節税でよく用いられています。

逓増定期保険の特徴

  1. 支払い保険料の1/2を損金にできる
  2. 解約返戻金がある
  3. 解約返戻金のピーク期間が短い
  4. 保障額が次第に増えていく

1. 支払い保険料の1/2を損金にできる

逓増定期保険は支払い保険料の1/2を損金に算入することができます。

そのため、保険料の支払いによって損金を作り、節税を行うことができます。

注意点としては、被保険者の年齢によっては、保険料の損金算入の割合が1/3や1/4になる場合があることです。

一般的に高齢になるほど算入割合が少なくなります。

また、支払い保険料の1/2を損金に算入と言っても、単純に支払った保険料の総額の半分を損金にするわけではありません。

次のような形での損金算入になります。

①保険契約期間の最初の6割の期間:保険料の1/2を損金算入、残りの1/2を資産計上
②保険契約期間の残りの4割の期間:保険料の全額を損金算入

また、②の期間では①の期間に資産計上した保険料を、②の期間で等分して損金に算入します。

例えば、支払い保険料の総額が3000万円、契約期間が10年のケースを考えてみましょう。

年間の保険料が300万円なので、最初の6年間で支払う保険料は1800万円となります。その1/2の900万円を損金に算入し、残りの900万円を資産計上します。

最後の4年間で支払う保険料は1200万円になりますが、これは全額損金となります。

また、①の期間で資産計上した900万円を4年で等分して損金に算入します。つまり、②の期間では毎年225万円分、資産計上した保険料が取り崩して損金算入することになります。

2. 解約返戻金がある

一般的な定期保険では解約返戻金がなく、保険は掛け捨てとなります。

しかし、逓増定期保険では保険を中途解約すれば解約返戻金を受け取ることができます。

先に見たように、逓増定期保険では支払い保険料の1/2を損金にできますが、この解約返戻金と組み合わせることで大きく節税することができます。

解約返戻金は一部が課税対象となります。

具体的には、受け取った解約返戻金の額から、それまでに支払った保険料のうち資産計上した額を引いた差額が雑収入となり、益金になります。

上に挙げた保険料総額3000万円の例なら、900万円を資産計上しています。

受け取った解約返戻金の額が2940万円(返戻率98%)なら、この900万円を引いた2040万円が課税対象となります。

解約返戻金による2040万円を考慮しても、決算書が赤字となるのであれば法人税は発生しません。

しかし、2040万円を加えることで黒字となるのであれば、その分法人税の負担が増えます。

そのため、解約返戻金を何らかの経費として使うことで、法人税の増加分を相殺する必要があります。

3. 解約返戻金のピーク期間が短い

解約返戻金で、それまで支払った保険料の何割が戻ってくるのかは、「返戻率」で表します。

例えば、支払った保険料の全額が戻ってくるなら返戻率は100%、半分しか戻ってこなければ返戻率は50%です。

この返戻率が最大になる期間を「ピーク期間」と言います。

一般的な法人保険では、解約返戻金の返戻率は山なりカーブを描きながら次第に上昇し、ピーク期間に達します。それから次第に下がっていくため、ピーク期間は比較的長く続きます。

しかし、逓増定期保険ではピーク期間が短く設定されています。

そのため、保険をいつ解約するかの融通が利きにくく、決まった時期に解約できるような運用計画を立てる必要があります。

ピーク期間を過ぎると返戻率がガクっと下がってしまうため、損失となってしまいます。

4. 保障額が次第に増えていく

逓増定期保険の逓増とは、「次第に増えていく」という意味です。

その名前のとおり、逓増定期保険では保障額が次第に高額になっていきます。

例えば、保険加入時点では保障額が1億円だとすると、10年後には3億円と言った感じです。

解約返戻金のあるタイプの法人保険を節税目的で契約する場合、解約返戻金の返戻率がピークになった時点で解約するのが基本です。

また、このタイプの保険では、満期近くになると返戻率が急激に下がり、最終的に0%になってしまうため、通常は満期まで契約を維持しません。

そのため解約ありきの節税目的で使う保険と言えますが、一方で保障の側面も無視しえません。

逓増定期保険は次第に保障額が高額になっていくため、比較的年齢が若く、事業規模もそこまで大きくない経営者が加入し、それから年齢を重ねて事業規模も大きくなっていくのに合わせるという意味では、非常に魅力的です。

ただし、保障額が高額になっていくということで、保険料はやや高めに設定されている点はデメリットと言えます。

逓増定期保険がオススメのケース

逓増定期保険を利用するにあたっての前提条件は、保険料の支払いを行えるだけの十分な利益が出ていることです。

その上で、経営者に万が一のことがあったときの保障を確保しつつ、保険料の支払いで節税を行ったり、解約返戻金を積み立てて退職金の準備をしたい場合にオススメです。

逓増定期保険は保険料が一般的に高額になるため、保険料支払いでキャッシュフローが悪化しないだけの十分な利益を出せていることが大前提です。