養老保険を使った法人税の節税【ハーフタックスプラン】

長期平準保険や逓増定期保険は保険を中途解約することで解約返戻金が支払われるため、法人保険においてよく用いられています。

しかし、この二つの保険には満期解約金がありません。また、満期近くになると解約返戻金の返戻率が急速に下がり始め、最終的に0になってしまいます。

そのため、これらの保険では保険を中途解約することが原則です。

一方、養老保険は解約返戻金があるだけでなく、満期を迎えた場合に同額の満期解約金が支払われます。

中途解約と満期解約のどちらでもお金が支払われるため、貯蓄性・資産性が極めて強いのが養老保険の特徴です。
そして、この特徴を活かして養老保険もまた法人保険として使われてきました。しかし、長期平準保険や逓増定期保険よりも使いにくい部分があるので、養老保険を利用する場合にはより注意が必要です。

養老保険は契約内容によって経理処理が異なる

養老保険の最大の特徴として、経理処理の複雑さが挙げられます。

養老保険は契約内容によって経理処理が大きく変わり、それに伴ってメリットとデメリットも変わります。

具体的な経理処理の違いは下の表のとおりとなります。


被保険者 死亡保険金受取人 満期保険金受取人 経理処理
役員 法人 法人 全額資産計上
役員 被保険者の家族 被保険者 全額損金(給与)
全役員・従業員 被保険者の家族 法人 1/2資産計上1/2損金算入(支払保険料)
一部の役員・従業員 被保険者の家族 法人 1/2資産計上1/2損金算入(給与)

表の上から三番目のパターンは「ハーフタックスプラン」と言われ、昔から養老保険を使った法人税の節税方法として用いられてきました。

以下、それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。

養老保険①のメリットとデメリット

このパターンでは経営者(役員)だけが養老保険に加入し、死亡保険金と満期保険金の両方を法人が受け取ります。
いずれにしても法人が保険金を受け取ることになるので、資産性が強いと見なされ、支払い保険料は全額が資産計上となります。

つまり、保険料の支払いによる法人税の節税メリットは全くありません。

敢えてメリットを言えば、保険料を定期的に支払うことで確実にお金を積み立て、支払われた保険料を経営者の退職金や後継者への事業継承を行う資金に利用できることでしょうか。

もちろん、経営者に万が一のことが起きた場合の保障も得ることができます。

ただし、このメリットは③のパターンでも享受できるため、養老保険の保険料が高額なことを考えるなら、あまりメリットは大きくないと言えます。

養老保険②のメリットとデメリット

経営者(役員)だけが被保険者となり、死亡保険金を経営者の家族、満期保険金を経営者本人が受け取ります。

いずれの場合にも経営者または経営者の家族が保険金を受け取るため、支払い保険料は経営者への給料と見なされます。

会社としては条件を満たせば、支払い保険料を役員報酬として損金に算入することができます。

しかし、経営者としては所得が増えて個人の税負担が増える上に、手取りが増えるわけではないので、手元に残るお金が少なくなってしまいます。

メリットとしては、経営者とその家族に対して個人的な保障を得られることです。特に、中小企業では会社よりも経営者個人がお金を持っていた方が何かと都合が良いので、①のパターンよりはメリットが大きいと言えるかもしれません。

養老保険③のメリットとデメリット

全役員・従業員を被保険者とし、死亡保険金を被保険者の家族、満期保険金を会社が受け取るパターンです。

このパターンは「ハーフタックスプラン」と言われ、養老保険を使った節税では最もオーソドックスな方法です。

メリットとしては、支払い保険料の1/2を損金に算入できることです。また、損金の名目も「支払い保険料」となるため、被保険者個人の税負担が増えるわけではありません。

また、被保険者に不幸がなかった場合は、満期保険金を会社が回収することができます。

デメリットとしては、原則として全役員・従業員が同じ条件で保険に加入しなければならないことです。

もし、一部の役員・従業員だけが保険に加入したり、異なった条件で加入していた場合は、次の④のパターンとなり経理処理が変わります。

養老保険④のメリットとデメリット

契約内容はパターン③と同じですが、保険の加入者が一部の役員・従業員だけとなっている場合はこのパターンになります。

法人の経理処理から見た場合、1/2資産計上、1/2損金算入という点は同じですが、損金の名目が「給料」となります。

そのため、被保険者となった役員・従業員にとっては、所得税・市民税等の個人で負担する税金が増えます。また、所得が増えると社会保険料負担も大きくなるため、会社にとっての負担も増えます。

養老保険を法人保険として使う場合は、ハーフタックスプランが基本

正直に言えば、③のハーフタックスプラン以外の契約内容はクセがあり、法人保険として活用するにはメリットが少ないと言えます。

ハーフタックスプランでは、法人税の節税効果と役員・従業員の福利厚生の充実という二つのメリットがありますので、利用する価値が大きいです。

ただし、養老保険は他の法人保険と比較して保険料の負担が大きくなります。

ハーフタックスプランでは原則として全役員・従業員が保険に加入することが条件となりますので、保険料の支払いによるキャッシュフローの悪化には注意が必要です。